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はかなく光ってはかなく消える、火を使わない現代版マッチを作った

雑貨屋を訪れたとき、久しぶりにマッチを見かけました。懐かしさを感じながらも、マッチのような趣ある製品が時代の流れとともになくなっていくのは、なんだかさみしいと感じたものです。

マッチ箱はラベルのバリエーションも多くてオシャレです。そこで現代の技術と組み合わせ、新たなデバイスとして進化させると、もっと面白くなるのではないかと考えました。例えばロウソクだって、今や火じゃなくてLEDで光る製品が多くあります。それにならって、現代版のLEDマッチを作ってみることにしました。

これがLEDマッチだ!

これが製作したLEDマッチです。見た目は普通のマッチのようにも見えますが、現代技術の面白い仕掛けが隠されてます。

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マッチ箱の中からマッチ棒を取り出します。そして、マッチ棒をマッチ箱の側面に近づけると先端が光ります。その後、マッチは数秒光り続け、はかなく消えていきます。

普通のマッチに火を付けるのと同じ動作です。 普通のマッチに火を付けるのと同じ動作です。

特徴として、マッチ棒には(LEDなのに)電源がありません。そのためマッチ棒はとてもコンパクトなサイズを実現しているとともに、普通のマッチの体験に限りなく近づけられています。

なぜ電源なしで光るのかというと、マッチを擦るときにマッチ箱から非接触給電しているからです。最近のスマホに搭載されているワイヤレス充電と同じ原理ですね。マッチ棒の先端にはLEDと受電コイルが付いています。対して、マッチ箱には電池と送電コイルが付いています。互いのコイルが近づいたとき、非接触給電によりLEDが光る仕組みです。

約1cm以内に近づくと光ります。 約1cm以内に近づくと光ります。

チャレンジ! 非接触給電

この非接触給電、なかなか難しそうに感じられますが、簡単に試せるキット(ワイヤレスLED給電ユニット OSWPTS1208D)が秋月電子で売っていました。コイルの中に専用のLEDを入れると光ります。

給電ユニットのコイルに近づくほど明るく光ります。 給電ユニットのコイルに近づくほど明るく光ります。

この製品を中に組み込むことで、簡単にLEDマッチを実現できるのではないかと考えました。マッチ棒は、LEDに割り箸を付けるだけで完成です。あとは給電ユニット搭載のマッチ箱を作るだけです。

意外と本物のマッチ棒っぽく見えませんか? 意外と本物のマッチ棒っぽく見えませんか?

マッチ箱の作り方

3D CADでマッチ箱を設計、3Dプリンターで造形し組み立てました。中身はとてもシンプルです。マッチ箱の側面に給電ユニットを入れ、給電ユニットの電源として単4形乾電池3本を使用しています。

約1時間で3Dプリンターの造形が終わりました。 約1時間で3Dプリンターの造形が終わりました。

こだわりは本物のマッチのようにポケットサイズにしたことです。できるだけ小型化できるよう、ムダなものは付けずコンパクトな設計にしました。

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ずっと電源を入れっぱなしだと電池がすぐ切れてしまうので、実は電源のオンオフ機能も設けています。しかし、箱に電源スイッチがあると違和感があるし、スイッチ切り忘れのリスクもあります。そこで、マッチ箱を閉めて手で握ってるときだけ電源が入るように工夫しました。

電源を入れるには指でマッチ箱を押さえる必要があります。 電源を入れるには指でマッチ箱を押さえる必要があります。

仕組みは簡単です。マッチ箱の中に電源のプラスマイナス端子を設けているため、電池ボックスの端子と触れることで電源が入ります。しかも、ただ触れてるだけだと接触不良で電源は入らず、ちゃんと手で握る必要があります。マッチを擦るときに、必ず箱を握りしめるという特性に目を付けました。

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すぐ消えちゃう……長く光らせたい

無事完成しましたが、マッチ棒を近づけている間しか光りません。給電ユニットの仕組みから当たり前のことではありますが、これではマッチっぽさが弱い気がして少し歯がゆい気分です。マッチ棒を擦った後は、やはりしばらく光り続けていてほしいものですよね。

マッチにしてはちょっとあっさりし過ぎです。 マッチにしてはちょっとあっさりし過ぎです。

そこで、電解コンデンサーを使用することで電荷を溜め、マッチ棒のLEDを長持ちさせる作戦を思いつきました。少しずつ容量を増やしながら評価し、ある程度の持続力がありサイズも大きすぎない220uFのコンデンサーを選定しました。またLEDの抵抗を増やし、少し消費電力を絞ることで持続時間を伸ばす工夫もしました。

電解コンデンサーは円柱状で、なんだかマッチ棒のデザインにもマッチしそうです。LEDがマッチ棒の先端に来るように配置し、はんだ付けしてみました。立体的なはんだ付けが難しかったものの、エモいデザインになって大変満足です。

電子部品が丸見えになったことで、現代版マッチの雰囲気が強くなりました。 電子部品が丸見えになったことで、現代版マッチの雰囲気が強くなりました。

効果を確認するため、2つのマッチ棒を同時に近づけてみました。すると、コンデンサーを付けたマッチ棒はきちんとLEDが長持ちするようになりました。作戦成功です。

効果が分かりやすいですね。 効果が分かりやすいですね。

バリエーションを作る

LEDマッチならではの魅力もたくさんあります。例えば色のバリエーションです。先端のLEDを変えるだけでカラフルなマッチを作れます。とてもオシャレで写真映えしそうですね。

好きな色のマッチ棒を作れます。 好きな色のマッチ棒を作れます。

マッチ棒はもちろんマッチ箱に収納できます。気分に応じて、好きなマッチ棒を選べます。

小物入れとしても使えるかもしれません。 小物入れとしても使えるかもしれません。

箱のラベルにバリエーションを持たせるのも楽しいものです。たくさん作って、写真やイラストを貼り付けてみました。

オリジナルラベルがあるとテンションが上がります。 オリジナルラベルがあるとテンションが上がります。

LEDで作る現代版マッチの魅力

このLEDマッチは、着火具というマッチ本来の機能を失う代わりに、少しはかなげなLEDイルミネーションとしての役割を果たせます。安全に何度でも使えるのも魅力的です。夜、街を歩いていて、ポケットから取り出してさっと光らせる、なんてのも趣があることでしょう。

スカイツリーを照らしてみました。 スカイツリーを照らしてみました。

昔は飲食店にオリジナルのマッチが置いてあることがありました。現代では名刺代わりとして、このようなLEDマッチが置いてあっても斬新で面白いかもしれません。古き良き文化も生かしつつ、技術で機能や体験を進化させていくのは面白く、新しい文化の発展に繋がるかもしれませんね。

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